地球惑星科学専攻 地球科学輻合部特別講演会

日時: 2009年10月7日(水) 13:00 - 14:30
場所: 京都大学理学部1号館1階 152号室
題目: 大気とGPSの因果な関係 -年周変動からsubdaily変動まで-
講演者: 宗包浩志 氏 (国土地理院)

講演要旨:
GPS測位において、大気は測位誤差をもたらす「敵」であり、解析時の工夫により影
響を取り除く努力がなされている。しかしながら、実際にどの程度の誤差が座標解に
漏れこんでいるのか、定量的に明らかにされてこなかった。本研究では、数値気象モ
デルで表現される現実的な大気の状態を考慮した測位シミュレーションを行い、主に
上下成分について,はじめて誤差の全貌を明らかにすることに成功した。おもな結果
は次の通りである:
1)解析の仕方を間違えると,積雪荷重による沈降と同じようなパターンの年周誤差が
生じるが,適切な解析で回避可能である、2)どんなに解析を工夫しても、大気中の水
蒸気のばらつきに起因する測位誤差は免れない。その特性は白色雑音で、実際の座標
のrepeatabilityの少なくとも1/3程度に相当する。3)前線の通過などの気象現象に伴
い、特異的な測位誤差が生じることが知られているが、オーダーメードの超精細数値
気象モデルを用いるとある程度の再現が可能である。また、できれば KinematicGPS
座標解への影響の評価事例についても紹介したい。

問い合わせ先: 宮崎 真一