地球惑星科学専攻 地球科学輻合部特別講演会 日時: 2009年12月10日(木) 15:00 - 17:00 場所: 京都大学理学部1号館 563号室 題目: 深部低周波微動に関する新たな知見 講演者: 小原一成 氏(防災科学技術研究所) 講演要旨: 西南日本で発生する深部低周波微動は位相の検出が困難であることから、防災科研ではエ ンベロープ形状の時間差に基づくエンベロープ相関法(ECM)によるカタログを作成され ている。一方、深部低周波微動は低周波地震の連鎖的発生として理解され、気象庁では微 動に含まれる位相をマニュアルで検測し、低周波地震として一元化処理カタログに掲載し ている。しかし、いずれも、震源決定精度や微動活動全体状況把握について問題がある。 そこで、新たに、エンベロープの時間差に加えて振幅情報を考慮したハイブリッド法を開 発し、さらにクラスタリング処理を行なうことで、良質の微動カタログが得られた。その 結果、沈み込むフィリピン海プレートの形状に沿って帯状に分布する微動源は、帯の浅部 と深部の2列に別れ、その傾向は四国西部・紀伊半島北東部・愛知県の3地域で、特に明瞭 であることが分かった。浅部と深部の活動を比較すると、浅部では短期的スロースリップ イベントが検出されるような比較的大きなエピソードの際に発生し、深部では比較的定常 的に発生する。この深部側のグループには、周囲からは孤立した小活動域も存在し、比較 的短い間隔で定常的に発生する。これらの発生様式の違いは、応力集中を引き起こすすべ り現象の違いを反映したものと考えられる。 問い合わせ先: 平原 和朗