地球惑星科学専攻 地球科学輻合部特別講演会 講演題名: 「ミリメートル軌道決定に向けて」 講演者: 大坪 俊通(一橋大学大学院社会学研究科) 日時・場所: 2010年8月27日(金) 14:00〜15:00 京都大学理学部1号館5階563号室 講演要旨: 電磁波伝搬を使ったタイミング計測は,現在,測地学のみならず広く空間計測に 利用されている.計測の精度は向上し,距離で 1 cm,時間に直すと 33 ps を切 るような計測が現実のものになっている. 筆者の携わる衛星レーザ測距 (Satellite Laser Ranging; SLR) 技術では,計測 精度 1 mm が大きな目標として掲げられている.測距システム自体の問題,大気 遅延の問題と並んで,Target Signature と呼ばれる問題が,そのボトルネック になっている.Target Signature とは,衛星に搭載されている複数の逆反射鏡 が奥行きを持って配列されているため,入射パルスに対して反射パルスが時間的 に広がってしまう現象である. この誤差要因を抑制するため,様々な工夫が行われようとしている.逆反射鏡の もつ特性を,衛星の軌道力学と関連付けながら,筆者自身が携わってきた GNSS や ASTRO-G,さらには将来月探査への応用例を解説する.あわせて,海外の動向 についても紹介する. さらに,精度をミリメートルレベルまで向上させることによって期待される,地 球や月の新しい科学についても展望する. 問い合わせ先: 福田洋一