京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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多目的観測サイト(阿蘇)観測地球物理学演習

鍵山恒臣・大倉敬宏

2006年8月1日から8月4日にかけて,阿蘇火山でのフィールド実習が行われた.この実習では,雄大なカルデラ地形を持ち,活動が活発化しつつある阿蘇火山で,超高層から地殻上部までの地球表層の領域を対象として,そこで生じる現象や構造を探るための様々な調査,観測法を実践することで,自然現象から情報を得る方法とその限界等について実感してもらうことを目的としている.実習には他学部からも含め,学生15名,教員6名,技術職員2名およびTA1名が参加した.
初日は20時過ぎに火山研究センターに集合し,資料の配付とともに実習の概要説明が行われた(写真1).温泉に出かけた後,2班にわかれ,A班は,大気光観測をおこなった.

2日目は「風を測る」実習を行った.セオドライト(経緯儀)を使って上昇するパイロットバルーンを追いかけ(写真2),仰角と方位角を測定する.雲の影響で10分程度しか追いかけられなかったが、当初北西に向かって飛んでいったバルーンが次第に東向きに流されていく様子が記録されている。阿蘇山は雄大なカルデラ地形を持つことで知られている。その中での地表付近の風が複雑である様子を垣間見ることの出来る結果となった。そして、センターに戻り、データ整理を行った。夕食,温泉の後,B班は大気光観測をおこなった.

3日目午前中は,A班は,「地下を測る」実習を行い,B班は大気光観測のデータ解析をおこなった.A班はさらに3グループに分かれ,火口登山道路を登りながらVLF観測による大地比抵抗測定を行うグループ,山頂から下りながら比抵抗測定を行うグループ,巨大火山弾(昭八岩)周辺の全磁力観測を行うグループに分かれた.VLF観測は,歩きながら数100mおきに比抵抗を測定した(写真4).火口に近づくにつれて比抵抗が低下していく様子を実際に確かめることができた.調査の途中では,火山弾に残されたマグマの発泡の痕跡の観察や火口内の噴気活動の観察(写真5),地下観測室の見学も行った.午後は,B班が「地下を測る」実習,A班は大気光観測のデータ解析を行った.夕方からは,焼肉パーティー.

4日目は,「地下を測る」実習のデータ解析(写真6)を行った.昼に解散し,それぞれ帰路についた.

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写真1

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写真2

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写真3

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写真4

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写真5

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写真6

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