京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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平成18年度多目的観測サイト(阿蘇)地震観測フィールド実習報告(9月)

理学研究科地球惑星科学専攻 久家慶子

 2006年9月25日(月)から9月28日(木)まで、京都大学地球熱学研究施設火山センター(阿蘇)において、地震観測フィールド実習を行った。火山センターの大倉敬宏・井上寛之両氏に観測の指導をしていただき、京都から教員2名(平原和朗・久家慶子)、TA1名、学生4名、更にオブザーバーとして学生・院生3名が参加した。
 今年度も、昨年度に引き続き、短周期地震計アレイを設置し、阿蘇火山の微動の観測を行った。初日、阿蘇火山のこれまでの活動や今回の観測実習の概要についての大倉先生の講義のあと、火山センターで地震計の準備と設置の練習を行った(写真1)。翌28日、現在活動する第1火口の西側(火口西)と北側(馬の背)の2ヶ所に、約50m四方内に6台の地震計を十字状に配置したアレイを設営(図1、写真2−6)、翌日午後までの約1日間、記録をとった(図2)。観測の合間には、火山センターの観測施設や第1火口などを見学。最終日には、火山センターの鍵山恒臣先生に、九州の火山・地熱活動の特徴、それらを理解するために今後何を明らかにするべきかについて講義をしていただいた。セントへレンズ火山噴火時などの貴重な映像も見せていただいた。
 実習期間を通して晴天に恵まれ、観測実習には絶好の天候となった。参加した学生たちにとっては、雄大な阿蘇火山の風景を目の前に、自分の手で初めて地震計を設置する実習となった。今年度取得された地震記録(図2)では、昨年度とくらべて、常時微動の振幅が小さく、孤立型微動が際立つ。この孤立型微動が阿蘇火山のどこから発せられているのか、参加した学生たちが、今後、京都で実施する演習の中で調べていく。28日朝には、宿泊先の火山センターにて、伊予灘深さ約70kmの地震(Mj5.4)を有感(阿蘇・震度2)。この地震は観測開始前であったが、その余震と思われる地震と阿蘇近傍の地震の2つを観測で捉えるという幸運にも恵まれた(図2)。実習の詳細等は、http://www-seis1.kugi.kyoto-u.ac.jp/d2/06/aso/index.htmlで見ることができる。

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図1:設営した2つのアレイ。各アレイは、約50m四方内に十字状に置かれた6台の短周期上下動地震計(赤の○印)からなる。

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図2:火口西アレイの中で最も火口に近い地震計の9月27日零時から正午まで記録。微動に加えて、2つの地震の震動が記録されている。上が阿蘇近傍の地震(Mj0.9) 、下は伊予灘の地震(Mj3.8)。

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写真1:火山センターでの地震計およびレコーダーの動作チェック

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写真2:火口西アレイの設営風景(北東から眺める)

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写真3:地震計のセンサーとレコーダーの間のケーブル引き(火口西アレイ)

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写真4:6台のセンサーからのケーブルを中央のレコーダーにつなぐ (火口西アレイ)

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写真5:接続終了後、各センサー脇で学生がジャンプし、その波形記録をPCで表示、接続・動作を確認 (火口西アレイ)

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写真6:観測実習を終えて参加者で記念撮影(馬の背アレイ)

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