京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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第2回KAGI国際シンポジウム(別府)報告

増田富士雄・竹村恵二・里村雄彦・嶋本利彦

 京都大学21世紀COEプログラム「活地球圏の変動解明」の第2回国際シンポジウムが,11月1日〜3日にかけて別府市ビーコンプラザで開催された.今回の科学テーマは「プレート収斂域での活地球圏変動」である. 前日の10月31日に、本COEが主催で別府市が後援の京都大学21世紀市民セミナー「気候変動の過去・現在・未来」という市民向け講演会が開かれ,木田秀次と増田富士雄が講演した.

 シンポジウムでは,余田成男代表のCOEプログラム紹介にはじまり(図1),アメリカAlaska大学のJ. Eichelberger,アメリカStoony Brook 大学のM. Geller,アメリカWisconsin大学のM.H. Hitchman ,イタリアGenova大学のM. Scambelluri,オーストラリアCSIROのB. Hobbs, 台湾科学院のC-H. Chenの招待講演者6名を含む,43件の講演が行われた.発表は,活地球圏の窓としての火山の様相に関する研究発表からはじまり,大気圏への火山活動の影響,さらに地殻・マントルにおける水の役割,そしてマグマ活動の時空間分布の多様性から活地球圏へアプローチする研究におよび,ふたたび地表での活動に関す研究に戻るという構成で行われた.この間,2日目と3日目の午前中は2会場にわかれ,副科学テーマ「火山活動の大気への影響」と「プレート収斂域での流体と地震」毎に会議が進められた.そして3日目の午後にひとつの会場に集まり,竹村恵二,里村雄彦,嶋本利彦がテーマ毎のまとめを行った.参加者はこの明快なまとめでシンポジウムの全体像を捉えることができ,それがJ.Mori司会の総合討論を盛り上げ,活地球圏研究の重要性を再確認させた.

 シンポジウムでは,32件のポスター発表もおこなわれ,塩谷雅人の司会による発表者の内容紹介は,院生やCOE研究員など若手も多く,なごやかな雰囲気で盛り上がった.口頭発表とポスター発表の内容については,英文要旨集(図2)を介して,期間中に各所で討論や議論が盛んになされた.活発な討論や多分野からの研究発表は,新しい活地球圏研究が萌芽する可能性と必要性を示しているよう思えた.期間中には,ウエルカム・パーティーのほか,来年度のKAGI国際シンポジウム(中国武漢で10月に開催予定)の話し合いなどいくつかの会議も行われた.

 シンポジウムの参加者数は,95名,内訳は,外国から20名,国内・学外から18名,学内から57名の参加であった.

 シンポジウム終了の翌日(11月4日)には別府や阿蘇の火山活動の見学が,竹村恵二と地球熱学研究施設の方々の案内で行われた.良い天気の中この"熱い巡検"は,活地球圏の息吹を参加者に実感させたに違いない.


写真1: 余田代表のスピーチで始まったシンポジウム


写真2: 国際シンポジウムの英文要旨集(131ページ)

△第2回 活地球圏国際シンポジウム, 別府    ▲page top
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