京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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2005年12月バングラデシュ出張報告

林 泰一,山根悠介

1.はじめに
 2005年12月3日から12日のバングラデシュ出張について報告する.この出張の目的は, KAGI21,J1aの経費で設置した雨量計のデータ回収,自動気象観測装置の修理,バングラデシュ気象局におけるデータ収集,および国際会議(International Conference of Bangladesh Geographical Society)での発表と現地の共同研究者との議論である.バングラデシュ全土で,イスラム原理主義者による爆破などが相次ぎ,地方へ出かけることは危険であると判断し,雨量データの回収は断念した.

2.自動気象観測装置の点検・修理
 ダッカの自動観測装置の温湿度計の示度が,異常な値を時折示すことがあったため,温湿度計のセンサー部を交換した.異常値の原因は,温湿度計センサーを保護するメンブレインフィルターが紛失し,センサー部にほこりなどが付着し,異常値を示していたことがわかった.さらに,温湿度計ようのラジエーションシェルターのファンの電源に異常があったが,コネクターの不良が発見されたため,コネクターをはずして直結することで正常に作動することに成功した.データ収録用のコンピューターのウィルス対策用のソフトを導入した.

3.バングラデシュにおける気象観測についての打ち合わせ
 気象局の長官,その上部機関である国防省の次官と将来の高時間分解能を持つ気象観測装置の導入および現地での維持管理体制について議論した.JICAのプロジェクトで導入され,2002年以来放置されている雨量計,水位計の整備復活,新たな自動気象観測装置の導入,それらの維持方法について議論をした.

4.バングラデシュ気象局におけるデータ収集
 バングラデシュ気象局において、過去の気象観測資料の収集を行った。これまでに提供を要請していた,2003-2004年の地上気象データ(風向風速,気温,湿度,気圧,雨量,日照時間),パイロットバルーンのデータの収集を行った。この収集に関してはバングラデシュ工科大学(BUET)のMd. Nazrul Islam氏の協力の下で行った.
5.数値予報の導入の可能性の検討
上記,Islam氏とは,バングラデシュにおける数値予報の導入の可能性について,その問題点,課題などについて議論をした.すでにメソ気象モデルMM5は導入され,利用されているが,数値天気予報を実施できるまでには至っていない.将来の可能性について議論した.

6.国際会議での発表
 2005年12月9日から10日かけて、バングラデシュの首都ダッカにおいて,バングラデシュ地理学会創立50周年記念のInternational Conference of Bangladesh Geographical Societyが開催された。報告者は「The spatial and temporal distribution of thermal instability and vertical wind shear over South Asia」というタイトルで発表を行った。発表後には、本研究に関して現地の研究者やインドの研究者とも意見交換を行った。

7.共同研究者との議論
 共同研究者であるダッカ大学地理学教室で,バングラデシュの竜巻を研究しているAshraf M. Dewan氏およびその学生と,バングラデシュにおける過去の竜巻発生リストについての詳細について議論を行った。

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