京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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インドネシア鍾乳洞調査報告(1)

田上 高広

本研究では、アジア赤道域の過去のモンスーン気候/気象変動を、局地的な降水量の指標となる地下水中の酸素同位体変動から読み解くことを目的として、インドネシア国内に数多く分布する鍾乳洞を踏査し、石筍(せきじゅ ん)試料を組織的に採取し分析する事を目指している。今回は、その第一回目の調査行として、ジャワ島西部のスカブミ地域において鍾乳洞踏査と石筍試料採取を行った。日程は、2006年2月28日に関空より出国し、3月10日に関空に帰国する、合計11日間であった。まず、竹村恵二、田上高広の2名が先遣隊として、共同研究者のいるバンドン工科大学(ITB)を訪問し、事前の準備と打ち合わせを行った。これに先立つ2月17日〜19日にITB側が行ったスカブミ地域の事前調査の結果と予察的に採取した試料の検討を行い、調査計画を本研究の目的に最適化した。この状況を、日本で待機する後発隊(松岡廣繁、楠橋直、松永豪)に伝え、装備等の最終確認を行った。両隊が現地で合流した後、ITBのBudi Brahmantyo、Khoiril Anwarと共に現地入りした。バンドンからスカブミまでは全て舗装路であり、片道約3時間で到着した。そこから現場までは約1時間を要したが、調査地域付近では一部未舗装路であったため、今回利用した大型のワゴン(4列)ではアクセスに苦労する場面があった。調査したのは、Buniayu Cavesの中の3つ(Cipicung、Ciawitali、Antik)であり、そのうち後2者から計3組5試料、全て現在成長中のものを採取した。特にAntikは全長200mあり、石筍とつらら石をペアで2組採取できた。バンドンへ帰着後、ドロドロになった装備と試料の洗浄を行い、また、次回以降の調査行について、ITBならびにインドネシア科学院(LIPI)の関係者たちと打ち合わせを行った。今後、6月にスカブミでのドリップウォーター採取、9月にジャワ島中部での鍾乳洞踏査と石筍試料採取を予定している。

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BuniayuのAntik Cave中での石筍試料採取風景(楠橋直撮影)

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Buniayu Cavesでの踏査終了後の調査隊一同(松岡廣繁撮影)

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