京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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研究拠点形成実施計画

総括班の全体構想のもとに、活地球流体圏と活地球固体圏での各々の変動と両圏境界での相互作用を 対象とする3つの重点科学事業(J1-J3)と、 地球科学と先端的技術の融合をはかる2つの共通基盤事業(K1-K2) を強力に推進する。 また、COE研究員を積極的に採用し、次世代を担う中核的研究者としてこれら全領域の研究を遂行させる。

総括: 拠点形成の全体構想立案と国際的な研究・教育プログラムの総合的推進
J1: 宙-空-海-陸系における水・熱フロー
J2: リソスフェアにおける水・熱フロー
J3: 固体圏-流体圏変動の時間カップリング
K1: 先端計測法開発と海外研究教育拠点
K2: 情報統合化と数値モデリング

総括: 拠点形成の全体構想立案と国際的な研究・教育プログラムの総合的推進

総括班は、「同業異分野の研究者が混在する活地球圏を覗くルツボ」の中核をなし、各事業の連携をはかり、 本プログラム全体を統括する。さらに、統一的な運営方針のもとに国際シンポジウムを毎年開催し、 国際教育プログラムをアジア・オセアニア諸国で実施して、活地球圏変動科学に関する研究成果を世界に向けて発信する。

担当者: 淡路、嶋本、増田、津田、家森、北村、竹村、竹本、MORI

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J1:宙-空-海-陸系における水・熱フロー(淡路 リーダー)

活地球流体圏変動の源である太陽エネルギーのうち短波長成分はプラズマ圏・熱圏で吸収され、 気候系の天井域を形成する。 一方、可視光は地表面に達して対流活動を惹起し、熱帯域では積雲対流活動が自己組織化して MJO(マデン-ジュリアン振動)、モンスーン、およびENSO(エルニーニョ・南方振動)を規定する。 このような空-海-陸系でのエネルギーと水輸送の多重時空間変動を、観測・データ解析・数値実験により総合的に解明する。 また、熱帯域を中心とした対流圏から太陽・磁気圏空間-気候系境界域までの宙-空系の力学的物質的結合過程の変動像を、 現地観測と全球データ解析・数値実験により明らかにする。

(a) 『積雲活動-MJO-モンスーン-ENSO』
熱帯域積雲活動が駆動する空-海-陸結合系の多重時間変動の解明
担当者: 里村、秋友、林、深尾

(b) 『下層-中層-高層大気の結合変動像』
熱帯域を中心とした太陽-気候系の力学的物質的な上下結合変動の解明
担当者: 塩谷、津田、木田、町田、大村

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J2:リソスフェアにおける水・熱フロー(嶋本 リーダー)

活地球固体圏の変動は様々な時間スケールをもつが、とくに地震や火山噴火のような突発的な現象に関しては、 水・ガス・マグマなどの流体の挙動が変動メカニズムを解明する大きな鍵である。地殻-マントル水循環の長期的な 変動像を基礎としながら、プレート収斂域における変形と物質移動の素過程を明らかにし、固体圏の変動を定量的に 捉えることを試みる。とくにリソスフェアにおける流体の挙動に焦点をあてながら、地質科学・物質科学的研究と 地球物理学的研究の統合化をはかる。

(a) 『地震の発生機構と東アジアの地震テクトニクス』
水の影響に着目した発生機構解明と長期予測の精度向上
担当者: MORI、久家、尾池

(b) 『プレート収斂域における水・熱フロー
水の影響に着目した発生機構解明と長期予測の精度向上
担当者: 竹村、田中、大志万、平島、小畑、下林、北村

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J3:固体圏-流体圏変動の時間カップリング (増田 リーダー)

固体地球と大気・海洋・地下水との両圏境界での相互作用の時空間変動を明らかにする。 変動計測には超伝導重力計やレーザー伸縮計などの地上精密観測計器とGPS、衛星高度計のデータを用いる。 また、地層・堆積物・化石・遺物・歴史資料などから、現在の観測データと比較しうる高品質の情報を 抽出する方法を開発する。得られた各種変動データを統合して、人間活動の時空間スケールでの多重時間 変動像を構築する。

(a) 『島弧と大陸の地殻変動と海面変動』
先端地球計測技術を用いた地殻・海面変動の時空間パターンの解明
担当者: 福田、竹本、岡田、田中

(b) 『多重時間変動像』
過去1万年間の活地球圏変動記録の地質学的解読とデータベース化、情報の統合
担当者: 田上、前田、竹村、瀬戸口、木田、家森

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K1:先端計測法開発と海外研究教育拠点(津田 リーダー)

活地球圏全体を対象とする新発想の衛星・地上計測技術や室内実験手法の開発を進めると同時に、 これまで個別の研究対象毎に行われてきた精密観測・分析研究・専門教育を複合的に実施する。 異分野間の緊密な情報交換により新発想の技術開発を促し、細分化された分野では理解 できなかった現象に関して飛躍的な研究発展に導く。 これらの技術開発を基礎として、フィールド研究および国際教育の基盤となる 「サテライトオフィス」(インドネシア、タイ、中国、オーストラリア)を設置する。 K2と協力してこれら4カ国をはじめとする諸外国および国内(京都、別府、阿蘇、信楽、潮岬)の観測サイトを 情報通信網(衛星回線、インターネットなど)で結び、「多目的観測ネットワーク」を構築する。

(a) 『先端的計測・実験技術の開発』
活地球圏に起る多様な現象を同時計測・再現する新発想技術の開発
担当者: 福田、嶋本、田上、町田、下林、北村、竹本

(b) 『海外研究教育拠点の形成』
アジア・オセアニア域でのサテライトオフィスの設置とネットワークの構築
担当者: 深尾、林、塩谷、平島、岡田、尾池

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K2:情報統合化と数値モデリング(家森 リーダー)

専用のサーバー上に「活地球圏情報統合ポータル」と呼ぶバーチャルな情報センターを構築し、 国際的な研究教育拠点のポータル(玄関)とする。観測・解析データ、計算機実験用モデル、 解析用ソフトウェア等の多様な情報を時間空間の共通パラメータを基準に統合して、 同業異分野の研究者が交流・協力できる場と手段を提供する。 特に、計算機実験用モデルは、パーソナルコンピュータからスーパーコンピュータまでの多機種に対応できる モデル群を開発・整備する。 また、本プログラムの実施状況と研究成果をポータルから速やかに国内外に公開する。

(a) 『活地球圏情報統合ポータル』
多種多様な観測・解析データと大規模モデルのシンセシス
担当者: 大志万、増田、淡路、前田、小畑、瀬戸口

(b) 『階層的な計算機実験用モデル群』
機能で汎用的な数値モデル群の開発・整備と一般公開
担当者: 秋友、大村、里村、久家、MORI

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