京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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日本地質学会市民講演会「京都とその周辺地域の地震と地質災害」

竹村恵二・増田富士雄

 9月18日に,京都大学時計台ホールにて,COE KAGI21により後援された,日本地質学会市民講演会「京都とその周辺地域の地震と地質災害」が,京都大学総長尾池和夫先生のご出席もいただき開催された.2005年度の日本地質学会が京都大学で開催される機会に,京都周辺の地震と活断層,土石流災害,山地災害に関する最新の情報を市民に紹介し,さらに防災に対する課題の現状を講演いただく内容が企画された.
 最初に京都大学岡田教授から,阪神・淡路大震災以後の京都周辺での活断層や地下構造に関する多くの地球科学的調査結果をもとに,活断層や地下構造に関する詳細な紹介がなされた.次の京都大学埋蔵文化財研究センターの富井氏の講演は,京都大学構内遺跡での長年にわたる調査成果として,弥生時代の大土石流の様相を紹介するとともに,白川からの土石流の原因についての内容であった(写真1).防災研究所の千木良教授は,災害は忘れた頃にやってくることを強調され,京都大学の東に分布する花崗岩地域の山地災害,1662年寛文地震時に起こった安曇川流域町居での崩壊について紹介された.京都市消防局の奥山理事の講演は,京都市が継続してきた地震被害想定を中心として,防災対策の現状についてなされた.2003年10月に策定された第3次地震被害想定の内容とそれらの市民への情報提供,さらに,対策への活用について講演され,この間の京都大学との交流についても言及された.最後に,COE KAGI21の発足時のメンバーでもあった尾池和夫総長にまとめの挨拶をいただいた(写真2).尾池先生は,講演会の最初からご出席いただき,4件の講演で提出された話題について,広島で戦後に起こった土石流の話題を紹介されながら,自然災害に関する課題についてのべていただいた.
 この講演会で,京都大学からの発信,京都大学の地域への貢献のありかたの一端が垣間見ることができた.また,参加いただいた中に,ふだんCOE KAGI21の活動を支えていただいている地球惑星科学教室の事務の方々のお顔も拝見でき,このような京都大学で開催する広報活動が,われわれの研究・教育活動を理解いただく重要な機会であることも実感された講演会であった.

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写真1:比叡山と大文字の間に位置する白川からの土石流について講演

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写真2:まとめの挨拶をされる尾池先生

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