京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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インド洋大津波堆積物のタイ海岸域での調査結果報告

成瀬元、増田富士雄

12月20日、インド洋大津波堆積物のタイ海岸域での調査結果報告会が成瀬元助手(KAGI21 J-3b 研究協力者)・増田富士雄教授(KAGI21 J-3b研究推進者)の講演で行われました.
この調査報告会では,21世紀COEプログラム・KAGI21の一環として,2005年3月および11月の2度にわたって行なわれた,スマトラ島沖地震津波堆積物調査の現時点での結果が報告されました(Fig. 1).
タイ海岸域における2度の調査の結果,1) 陸上の津波堆積物は非常に薄い(平均5cm)ものの広い地域にわたって分布していること,2) 堆積物の起源は海浜〜浅海域であること,3) 雨季を経ても陸上の堆積物はほとんど失われておらず,地層中にそのまま保存される可能性が高いこと,4) 堆積物のほとんどは津波の寄せ波で運搬されたものであること,5) 堆積物の内部には津波堆積物に特有な堆積構造が残されていること,などが明らかになったと報告されました.
また,2004年の津波堆積物と良く似た砂層が,調査地域の海浜後背湿地の泥炭層中に広く分布していることも調査の過程で明らかになっています.現在のところ,まだこの砂層が過去の津波堆積物であるかはわかりません.しかし,もしそうだとすると,この発見はインド洋地域を襲う巨大津波の発生頻度を考える上で重要な情報を与えるかもしれず,今後,詳しい地質学的分析や年代測定を行う必要があるということも報告されました.
この調査は,タイ・チュラロンコーン大学の協力のもと,タイ南部プーケット島およびカオラック地域周辺で2度にわたって行われました.調査には京都大学から成瀬 元(助手)・坂倉範彦(COE特別研究員)・藤野滋弘・松本 弾(共に博士課程2年),タイ・チュラロンコーン大 学からT. Jarupongsakul (準教授)・W. Wedchakul (助手) ・A. Wedraksakul (修士課程)の総勢7名が参加しており,今後も継続的に共同研究を推進して行く予定です.

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Fig.1

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