京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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活地球圏セミナー 第11回 (2005年1月12日)

◆「地球放射線帯での相対論的高エネルギー電子とプラズマ波動の関係」
  加藤 雄人 (生存圏研究所)

 地球周辺の宇宙空間には、光速の95%を超える相対論的な速度を持つ高エネルギー 電子が存在する領域があり、放射線帯と呼ばれている。これらの高エネルギー電子は地球 磁場に捕えられた状態にあり、地球の周囲を取り巻くようにして分布している。 放射線帯の存在は1958年に発見され、比較的安定な領域であるとして認識されていたが、 90年代以降の衛星観測により磁気嵐に伴って時間的・空間的に激しく変動する領域である ことが明らかにされた。この放射線帯高エネルギー電子の変動は磁気嵐による地球磁気圏 全体の変動の結果として理解されるが、変動を引き起こす直接の要因として、放射線帯 領域で励起されるプラズマ波動、特にホイスラーモードの波動の影響が重要であると されている。
本発表では、どのようにしてプラズマ波動が放射線帯高エネルギー電子に対して影響を 及ぼすのかについて、その基礎過程に関するシミュレーション結果と併せて紹介する。

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◆「西南日本に発生する非火山性の深部低周波地震の発見」
  大見 士郎 (防災研究所)

 深部低周波地震といえば、これまでは、たとえば、「富士山の深部低周波地震」 などで知られるように、火山やその周辺の地下深くで観測されて、火山のマグマ 活動の指標とされる現象だった。
しかしながら、ここ数年の日本国内での微小地震観測網の高性能化に伴い、 火山から離れた地域での深部低周波イベントの発生があらたに記載されるように なってきた。
そのひとつは、沈み込むプレートの前弧側で観測される低周波微動群で、 西南日本に沈み込むフィリピン海プレートに沿って観測されている。これらの 低周波微動に伴い、プレート境界でスロースリップが発生することもある。
他のひとつは、それよりも背弧側の活断層の深部に発生する低周波地震で、 鳥取県西部地震の震源域のほか、数箇所で観測されている。鳥取県西部では、 本震の発生前から低周波地震が観測され、本震後活動が活発化している。
これらのイベントは,ともに,沈み込むプレートの脱水に起因する流体の挙動 を示すものと考えられている.プレート境界や活断層などの地震発生場に存在 する流体の挙動は、地震発生のプロセスに影響を与えている可能性があり、 これらの低周波イベントの研究は地震発生過程の理解のためにも重要である。 本セミナーではこれらのイベントの紹介を行う。

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