京都大学21世紀COEプログラム 活地球圏の変動解明 アジア・オセアニアから世界への発信

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活地球圏セミナー 第1回 (2004年10月6日)

◆「人工衛星データを用いて大気と海洋の熱交換過程を調べる」
  根田 昌典(理学研究科 地球惑星科学専攻)

 人工衛星データは1980年代から急激にその信頼度が向上したが、それは単なる宇宙から写真機としての利用方法から観測機器としての精度評価を経て定量的な観測機器としての利用に向けて問題点が洗い出され、解決・修正されてきた時期であった。その結果、海面温度や海上風の観測など現場観測との差を小さくすることに成功した観測手法が開発された。それらは数値天気予報にも用いられる一方、最近ではWallace et al.(1989)の提案した水温と海上風の関係に照らし合わせて熱帯不安定波動を衛星観測から確認するなど(Chelton et al.2001)大気海洋間の相互作用についての研究にも積極的に利用されるようになって来た。このように人工衛星観測を組み合わせて大気海洋間の相互作用を解析することが可能になってきているが、直感的に最も重要な量である大気と海洋間の熱交換量の評価と、その時間的空間的な変化が海洋や大気の変動にどのように影響しているのかについては、ようやく議論される段階になってきたところである。今回は、人工衛星による海面フラックスの観測の進展の状況とともに、年々変動スケールの気候変動に関連して大気海洋間のフラックスがどう変動しているのかについて話題を提供したいと思う。

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◆「張力的応力場九州における火山研究の展望−京都大学は九州で元を取ったか−」
   鍵山恒臣 (理学研究科 地球熱学研究施設)

 ニュージーランドは,簡単なガイドブックによれば,日本と同じ沈み込み帯に位置する火山国と言われている.しかしずっと以前に現地を見た私は,日本の火山の常識がことごとく否定され大きな衝撃を受けた.たとえば,日本の火山には火山フロントがあり,最も活発な火山はフロント上に並んでいる.しかし,ニュージーランドでは火山フロントを無理やり引くことはできるが,そこにはちっぽけな火山しかない.この違いは,応力場の違いと考えられ,火山の分布だけでなく,マグマ供給系や火山活動の形態にも影響していると思われる.日本の地球科学は残念ながら東高西低であり(研究のレベルがではなく,人気がである),九州に研究・教育の拠点を持つ京都大学には大きな責任と展望がある.カルデラ・地溝帯を生み出す構造,活発な地熱活動を維持するマグマ供給系,若者に食いついて欲しい興味は尽きない.

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