京都大学 大学院 理学研究科 地球惑星科学専攻、理学部 地球惑星科学系

MENUMENU

火山研究センターの復旧について

大倉敬宏(地球熱学研究施設・火山研究センター 教授)

熊本県南阿蘇村にある 京都大学理学研究科 附属 地球熱学研究施設 火山研究センター は、1928(昭和3)年の業務開始以降、阿蘇山をはじめとした九州各地の火山の研究に取り組んできました。 しかし、火山研究センター本館は2016年4月16日の熊本地震(本震)により被災して使用不能となり、我々職員は阿蘇市一の宮町坂梨の仮研究棟などで業務を続けてきました。 この間、本館では大規模な復旧工事が進められ、2021年2月までに復旧工事が完了しました。 その後、同年3月に現地での業務再開、そして5月10日には復旧記念式典の開催に至りました。

本記事では火山研究センターの被災時の様子や復旧の過程、それに復旧完了後の様子をお伝えいたします。


2020年5月、復旧工事中の火山研究センター。遠方に噴火中の阿蘇山を望む。

熊本地震被災時の様子

2016年4月16日の午前1時25分、南阿蘇村を震度6強の揺れが襲いました。 火山研究センター本館では1階の被害が甚大で、壁が崩落したり床が変形するなどしました。 本館は高野尾羽根溶岩ドームの上に建っていますが、建物周辺では引張性のクラックも確認されました。 その後の解析によると、本館至近のGPS観測点は本震時に80 cm以上も沈降したことが分かっています。


熊本地震時の地殻上下変動。風間ほか (2019) に加筆。

復旧工事中の様子

熊本地震以降、我々は大津町(2016年4月21日~)や阿蘇市役犬原(2016年7月1日~)に仮事務所を設け、2017年4月からは阿蘇市一の宮町坂梨の仮研究棟(旧坂梨小学校)で業務を開始しました。

一方、火山研究センター本館では2019年8月より復旧工事が開始され、損傷を受けた基礎の補修・補強や、ジャッキアップによる建物の傾きの是正が行われました。 特に、火山研究センター本館は国の登録有形文化財にも指定されていることから、意匠部分にも配慮しながら注意深く復旧工事が進められました。 その結果、2021年2月までに復旧工事が完了し、同年3月より現地での業務を再開することができました。

復旧完了後の様子


旧阿蘇大橋の西側から見た様子。遠方に火山研究センターや阿蘇山が見える。

旧阿蘇大橋のやや下流に建設された、新阿蘇大橋。さらに下流には長陽大橋も見える。

記念式典の様子

2021年5月10日には火山研究センターの復旧記念式典が対面およびオンラインのハイブリッド形式で開催され、学内外の関係者約30名が出席されました。 式典では吉良清一南阿蘇村村長、佐藤義興阿蘇市長らの祝辞ののち、復旧工事の終わった館内の見学会が行われました。

おわりに

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、遠方の来賓の方はリモートからの参加となりましたが、おかげさまで復旧記念式典は滞りなく終了いたしました。 これまでの皆様のご支援に感謝いたしますとともに、今後とも一層のご指導を賜りますようお願い申し上げます。

編集担当:風間卓仁(地球物理学教室 助教)

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